映画「クリード 過去の逆襲」ネタバレ感想・考察 結末、物語のテーマは?

2023年6月6日

 過去から逃げることはできない――それがボクシング映画「クリード 過去の逆襲」が教えてくれる教訓です。

 この記事では、映画ライターのオビが今作を徹底紹介。名門ボクシング家族の生まれ、アドニス・クリードが描く英雄的な戦いと彼が直面する深いパーソナルな問題などのテーマについて、本記事ではネタバレ(結末にも一部触れます)を含みながら詳しく解説しつつ、鑑賞した感想もお伝えします。

 この3作目の「クリード」では、彼がかつての親友であり、現在のライバルであるデイムとの戦いに挑みます。彼らの過去の罪と贖罪を通じて、観客に感動と興奮を与えるのです。

 では、この興奮と感動に満ちた映画の世界に一緒に飛び込んでみましょう。

【映画「クリード 過去の逆襲」の見どころと基本情報】

 「クリード 過去の逆襲」は、大ヒットを記録したボクシング映画「ロッキー」シリーズの魂を継承した「クリード」シリーズの第3作目です。本作は、ダイナミックなボクシングシーンや、深みのあるキャラクター間の関係性、そして主人公の内面的な成長といった魅力が詰まっています。さらに興味深いことに、本作では主演のマイケル・B・ジョーダンが長編映画初監督を務め、その新たな挑戦も注目の一つです。

映画のあらすじ

 かつてロッキーが死闘を繰り広げた親友アポロの息子アドニス・クリードは、ロッキーの魂を引き継ぎ、世界チャンピオンになりました。しかし彼の前に、刑務所から出所した幼なじみのデイムが立ちはだかります。

 かつては家族同然の仲であった二人ですが、デイムはクリードの少年時代の過ちにより、18年間の刑を服し、復讐心に燃えています。クリードは自らの過去に決着をつけるため、デイムとの戦いに向けて猛トレーニングを開始します。

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監督・脚本

 本作の監督を務めるのは、主演のマイケル・B・ジョーダンです。これは彼の長編映画初監督となります。ジョーダンはアクターとしての経験を活かしつつ、新たな視点と独自の感性を映画に注ぎ込みます。

キャスト

 クリード役のマイケル・B・ジョーダンの他、クリードの幼なじみで最強の敵となるデイム役には「アントマン&ワスプ クアントマニア」のジョナサン・メジャースが、そしてクリードの妻ビアンカ役には前2作に続いてテッサ・トンプソンがキャスティングされています。彼らの熱演が物語をさらに引き立てます。

【映画「クリード 過去の逆襲」ネタバレあらすじ】

プロローグ

 2002年、ロサンゼルスで若き日のアドニス”ドニー”クリードは、親友であるゴールデン・グローブチャンピオンのダミアン”ダイアモンド・デイム”アンダーソンと共に、デイムが出場する地下ボクシングの試合を見るために家を抜け出します。

 デイムが試合に勝利した後、彼はプロになり世界チャンピオンになるという夢をドニーに語ります。しかし、途中で立ち寄ったリカーストアで、ドニーは衝動的にレオンという男を攻撃します。

ドニーの成長と家庭生活

 15年後の2018年、ドニーは「プリティ」リッキー・コンランとの再戦で勝利を収めます。コンランは刑期を終えて出所し、再びチャンピオンシップ戦の挑戦者になるために努力を続けていました。ドニーはボクシングから引退し、妻のビアンカと娘のアマラに専念することを決意します。

 3年後、ドニーはコーチのトニー”リトル・デューク”エヴァースJr.と共にデルフィ・ボクシングアカデミーを経営し、プロテジェである世界チャンピオンフェリックス”エル・ゲレロ”チャベスをプロモートしています。

 一方でビアンカは聴力問題によりパフォーマンスを断念し、成功したプロデューサーになります。二人はドニーの養母メアリー・アンの健康状態が悪化していくのを見守りながら、娘アマラが父のようなボクサーになることを夢見ているのを見守っています。

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デイムの復帰と異変

 デイムが刑務所から出所し、ボクシングを再開するという意志をドニーに打ち明けます。ドニーは渋々デイムをジムに招待し、チャベスとスパーリングする機会を与えます。しかし、デイムの攻撃的なスタイルはチャベスとデュークから非難を浴びます。

デイムの挑戦

 ビアンカのレコードレーベルのパーティで、デイムはビアンカに謎めいた形でレオンのことを話します。その後、ドラゴが未知の襲撃者に襲われ、彼のチャベスとの戦いが中止となります。ドニーはデイムを対戦相手と提案し、自身の父がロッキーに初めてタイトルを掛けた試合と同じようにアンダードッグの戦いを提案します。これに対しチャベスは喜んで受け入れます。

興奮と慟哭の展開が、あなたを待っている

 チャベスとデイムはリングで決闘します。しかし……。

 その後の展開は、未鑑賞の方の楽しみを奪わないためにここで詳述することを止めておきます。ぜひご自身の目で確かめてください。過呼吸になるほどの興奮と感動は、あなたの人生を変えるほどの力に満ち満ちているのです(鑑賞済みの方は、きっとこの気持ちを理解してくれると思います)。

 それでも結末を知りたい、という人だけ、この先を読み進めてください。

【物語の描写や謎を整理・考察する】

デイムとドニーの過去の関係を整理する

 デイムとドニーは、映画の始まりで深い絆を共有していると描かれます。彼らは幼なじみであり、少年時代をともに過ごしました。特に、デイムはプロボクサーを目指すという夢をドニーと共有し、2人はそれを追求するために力を合わせました。しかし、不運な一件により、ドニーはリオンという男に衝動的に攻撃を加え、その結果、デイムは18年間の刑務所生活を余儀なくされます。この出来事は、彼らの関係に大きな亀裂を生じさせました。

 刑務所を出所したデイムは、昔の友人であるドニーに再会しますが、その間に彼の人格は大きく変わります。刑務所での過酷な環境と時間は、彼の心を固くし、復讐心を燃え上がらせました。デイムは、ドニーが自分を刑務所に送り込む過ちをしたと感じ、その怒りと恨みは彼を突き動かしました。

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 一方、ドニーはデイムとの過去の関係を封じ込め、それを克服しようとしていました。しかし、デイムが戻ってきたことで、彼は再びその過去と直面せざるを得なくなりました。そして、デイムの復讐心とその方法に直面することで、ドニー自身も自分の行動とその結果について深く考え直すこととなります。

 このように、「クリード 過去の逆襲」はデイムとドニーの過去の関係とその変化を描くことで、観客に感情的なドラマとキャラクターの成長を提示します。

デイムの復讐心はどんなものだった? 結末への過程から考察する

 デイムの復讐心は彼の人生における中心的な動機付けとなっています。18年間の刑務所生活の間に、彼はドニーに対する強い恨みを抱き、その恨みは復讐心に変わりました。デイムは、ドニーの過ちが自分を刑務所に送り込む結果となったと感じ、彼に対する怒りと憎しみを募らせていきます。

 出所したデイムは、まずドニーに接触します。彼はボクシングキャリアを再開する意志をドニーに伝え、自身のスパーリングパートナーとしてドニーを誘います。しかし、これは彼の本当の意図を隠すための偽りの態度でした。彼の真の目的は、自分を冠状ヘビー級チャンピオンにすることで、ドニーに対する復讐を達成することでした。

 その過程で、デイムは様々な策略を巡らせます。彼はビクトール・ドラゴが謎の攻撃者に襲われる事件を仕組み、チャンピオンシップ戦の対戦相手を自分に変えるようドニーに働きかけます。そして試合では、自身のアグレッシブな戦法でフェリックス・”エル・ゲレロ”・チャベスをノックアウトし、チャンピオンの座を奪取します。

 デイムはまた、公の場でドニーを詐欺師と非難し、彼が自分から背を向けたと主張します。これは、ドニーがデイムの逮捕と収監時に彼を見捨てたことへの復讐とも解釈できます。

 しかし、デイムの復讐心は最終的に彼自身の失敗を招きます。ドニーは自身の過ちと向き合い、デイムに対する罪悪感と恐怖を克服します。これにより、最終ラウンドで彼はデイムを倒し、再びチャンピオンの座を奪回します。

 映画は復讐の道を選んだデイムの悲劇と、自身の過ちと向き合い成長するドニーの姿を描くことで、人間の心の複雑さや対人関係の困難さを描いています。デイムの復讐心が彼の行動を主導する一方で、その行動はドニーの成長と変化を促します。

 デイムの復讐心は最終的に彼自身の敗北を招きますが、ドニーとの闘いを通じて彼自身も成長を遂げることになります。復讐の結末は悲劇的ではありますが、その過程は彼にとって必要な試練であり、過去の過ちと向き合うきっかけとなります。

 最終的にドニーとデイムは和解し、お互いに対して罪を認めます。この和解の瞬間は、二人の長い闘いの終結を象徴し、ドニーの罪悪感とデイムの復讐心の解消を示しています。その結果、二人は過去の困難を克服し、未来への道を切り開くことができました。

 この物語は、人間の感情の複雑さ、特に怒りと恨みが人間の行動にどのように影響を及ぼすかを描き出しています。同時に、それが個人の成長や他人との関係にどのように影響を及ぼすかも示しています。映画「クリード 過去の逆襲」は、このような人間ドラマを巧みに描き出すことで、視覚的なアクションだけでなく、人間の心理や感情に深く触れる作品となっています。

ドニーとビアンカの関係が意味することは?

 

 ドニー・クリードとビアンカの関係は映画「クリード 過去の逆襲」の中でも特に深遠な部分を描いています。観客は二人の間の深い絆とそれが試練にどのように耐えうるかについて興味を持つでしょう。

 物語の中でドニーが自身とデイムの過去をビアンカに明かす瞬間は、彼らの関係性に新たな次元をもたらします。ビアンカがドニーの過去を知ることで、彼らの絆はさらに深まる一方で、新たな葛藤が生まれます。

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 ドニーがビアンカに真実を明かすシーンは、彼が彼女に対する深い信頼と愛情を示す瞬間でもあります。彼がビアンカに自分の過去、自分の恥、そして自分がデイムを助けなかったという罪悪感を打ち明けることで、彼はビアンカとの間に完全な透明性をもたらそうとします。

 一方で、ビアンカの反応は彼女の強さと理解を示すものであり、彼女がドニーの過去をどう受け止めるかが、彼らの関係性の進展に大きな影響を与えます。ビアンカはドニーの過去と彼がどのようにそれに対処するかを理解し、彼をサポートすることで、彼らの愛情はさらに深まります。

 このシーンは、ドニーとビアンカがそれぞれの過去や現在の困難をどのように共有し、それを通じてお互いをより深く理解し、愛するかを描いています。二人の関係性の進展は映画の中で重要な役割を果たし、観客はそれを深く感じ取ることができるでしょう。

【感想とまとめ】

 映画「クリード 過去の逆襲」は、過去の痛みと闘い、人生の真実に向き合う力強さを描き出した感動的な作品です。主人公アドニス・クリードの人間ドラマと刺激的なボクシングシーンは観客の心を揺さぶり、深い共感を呼び起こします。

 映画が描く彼の成長と対人関係、そして最終的なトライアンフは、私たちが自身の過去と向き合い、それを超える力を見つけるヒントを与えてくれます。いずれにせよ、ネタバレを知っていても「クリード 過去の逆襲」はその魅力を失わない映画です。

 本作は、観る者すべてに深い影響を与え、何度でも見返したくなるような力強さを持っています。これは単なる映画以上のもの、人生そのものを映し出す一作です。

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Posted by obi