「リトル・マーメイド」アニメと実写の”7つの違い”【ネタバレあり】

2023年8月16日

 ディズニーの名作「リトル・マーメイド」が新たな生命を吹き込まれ、現代の視点で描かれた実写版として完成しました。

 この記事では、アリエルが実写版でどのように生まれ変わり、王子エリックとのロマンスがどのように進行するのか、さらには悪役アースラがどのようにアリエルの運命を狂わせるのか、これらの要点に注目して、「アニメと実写の7つの違い」を詳しく比較します。

 主な変更点は…女性の自己決定権の強調や家族のあり方、そして恋愛観の変化といった現代社会のテーマ。そしてその変更点が持つ、それぞれの魅力とメッセージを解き明かしていきます。

※以下、物語の重大なネタバレが含まれています。未鑑賞の方は十分にご注意ください。

実写「リトル・マーメイド」ストーリー(オープニングから結末まで要約)

 アリエルは海の王、トリトンの娘であり、人間の世界に憧れています。母親が人間に殺された後、父は全てのマーメイドに海面への出現を禁止しましたが、アリエルは人間の物を集め、その世界を想像し続けます。

 ある日、彼女は王子エリックの船から上がる花火を見て、海面へ上がります。エリックの船は嵐で遭難し、アリエルは彼を救い、彼が意識を取り戻す前に逃げます。トリトン王はアリエルが人間を助けたことを知り、彼女の人間のコレクションを破壊します。

 その後、アリエルはアースラという海の魔女(トリトンの妹であり、アリエルの叔母)と取引をします。アースラはアリエルを3日間人間に変える代わりに、彼女の声を奪います。エリックとの真実の愛のキスがなければ、アリエルは再びマーメイドになり、アースラのものとなります。

 アリエルは人間になり、エリックの城に行きます。声がでないため、彼女がエリックを救った女性であることを示すことはできませんが、二人は時間を共有し、お互いに引かれます。

予告映像

 しかし、アースラは美しい女性ヴァネッサとして化け、アリエルの声を使ってエリックを操ります。アリエルとその友人たちは、エリックがヴァネッサと婚約を発表するところを見つけます。アリエルはパーティーに急いで行き、アースラに立ち向かい、声を取り戻します。

 太陽が沈む前にエリックとキスすることができず、アリエルは再びマーメイドに戻ります。アースラはアリエルを奪い、海に引きずり込みます。トリトンは娘の代わりに自分自身を犠牲にしますが、ウルスラはトリトンのトライデントを使って巨大化し、嵐を引き起こします。

 アリエルはアースラを倒し、トリトンは命を取り戻します。最終的にトリトンはアリエルを永遠の人間に変え、彼女はエリックと再会します。

 アリエルとエリックは共に旅をすることを決め、その決断は両親からも、そして彼らの世界の人々からも支持されます。

出典:IMDb 「リトルマーメイド」https://www.imdb.com/title/tt5971474/?ref_=fn_al_tt_1

「リトル・マーメイド」アニメと実写の物語”7つの違い”

1.キャラクターのバックストーリー

 アニメ版では、アリエルの母親についての情報は明確には示されません(続編では母についての描写があります)が、実写版ではアリエルの母親が人間によって殺されたというバックストーリーが追加されています。これはトリトン王が人間を忌み嫌う理由を強調し、またアリエルと人間との関係をより複雑にしています。

2.エリックの役割

 実写のエリックはとある島の王国の王子であり、民を助け、未知を探求することを望んでいると描かれています。また、エリックの母親、セリーナ女王が登場し、エリックの行動に影響を与えます。セリーナ女王はエリックに対して航海を禁じており、陸に近づくことを禁じられたアリエルと同じ境遇である、という描写になっています。

3.アリエルの能力

 実写版ではアリエルがその声によってエリックの命を救う描写があります。これはアニメ版には存在しない要素であり、アリエルの人間世界への憧れだけでなく、彼女自身の能力にも焦点を当てています。

4.アースラの関係性

 アニメ版ではアースラはただ単に”海の魔女”として描かれていますが、実写版ではアースラがトリトン王の妹であり、アリエルの叔母であるという新たな設定が追加されています。これは家族のドラマと悲劇を追加し、アースラの動機を深化させています。

5.魔法の詳細

 アニメ版と実写版ではアースラがアリエルに与える魔法の内容が異なります。実写版ではアースラが魔法に細工をして、アリエルがエリックとキスすることを忘れさせようとするという設定が追加されています。

6.最終決戦で

 アニメ版と実写版の最終決戦は、その決着が大きく異なります。アニメ版ではエリックがアースラを倒しますが、実写版ではアリエルがアースラを倒します。役割が男女逆転しており、アリエルが守られるヒロインではなく、現代の戦う女性であることを象徴しています。

7.物語の結末

 アニメと実写の結末は似ていますが、実写版ではエリックとアリエルが一緒に旅をするという新たな要素があります。これには深い意味があるので、少し詳しく解説していきます。

 アリエルとエリックの愛が両方の世界をつなぎ、人間と海の生物の共存と理解を可能にしました。トリトン王の理解と受け入れ、そしてアリエルの勇気と愛の力が、最終的には二つの世界の間に橋をかけることに成功します。

 概して、この物語は、愛、犠牲、家族、そして自分自身を受け入れることの重要性を強調しています。それはまた、違いを超えて友情や愛を育むことが可能であることを示しています。アリエルとエリックの物語は、多様性を認め、共に成長し、愛を育むことができることを教えてくれるのです。

変更点に込められた意味を考察する

 以上の変更点は、多様な価値観を反映し、現代の観客がより深く物語とつながり、個々のキャラクターの経験に共感できるように設計されています。

 例えば、アリエルが自身の意志で人間になるという変更は、彼女が自己主張と独立性を持つ現代的な女性として描かれていることを示しています。同様に、エリックが物語の中でより積極的な役割を果たすことで、彼のキャラクターが深化し、視聴者が彼の行動と決断に共感しやすくなります。

 また、アースラがアリエルの親戚という設定は、彼女のキャラクターと彼女の行動の動機をより理解しやすくするための手法と言えます。

 さらに、物語の結末「アリエルとエリックが新たな旅に出る」という展開は、女性の生き方の多様化を象徴しています。アニメでは、アリエルは”王子の愛を得て、結婚することが幸せ”と暗に示されましたが、今、果たして結婚だけが幸福なのでしょうか? 実写版では、自立した女性であるアリエルが心から信頼できるパートナーを得て、新たな世界へ旅立つ姿を描いています。今作は、今を生きる私たちすべてを勇気づけ、誰だって挑戦していいと伝え、応援する物語となっているのです。

 これらの変更は全て、現代の観客がアリエルと他のキャラクターの行動、心情、そして彼らが直面する困難と挑戦についてより深く感じ取ることを可能にしています。

 実写版「リトル・マーメイド」は、古典的な物語を尊重しつつ、現代の視点を反映し、より多様でリアルな物語を提供していると言えるでしょう。

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