新元号が“令和”に決まったことだし、平成最後の4月に公開されるオススメ映画の話をしよう【前編】
新元号が“令和”に決まりましたね。今回は、平成最後の2019年4月に公開されるオススメ映画をご紹介します。脈絡がなさすぎると思います? 私もそう思います。
でも、「めちゃ面白い、めちゃ面白そうな映画がたくさんあるぞ!」とめちゃめちゃ伝えたい気持ちは本物なので、ぜひ御笑覧くだされば幸いです。(長くなったので前後編です)
・キングダム(4月19日公開)
いきなり公開日が前後して申し訳ないのですが、真っ先にこの作品の良さを伝えたくて……。中国春秋戦国時代を舞台にした原泰久のベストセラー漫画を山崎賢人主演で実写映画化。壮大なスケールで描かれる超人気作だけに、実写化に対しては不安の声が渦巻いていました。
一足先に鑑賞してきましたが、原作ファンの皆さん、ご安心ください。これまでの実写化は「まあ、このくらいの再現度か。頑張ってるじゃん」と思うことが限界でしたが、この作品はワケが違います。ディテールのレベルが異次元。美術とセット、ロケーションのクオリティが段違い。キャストも世界観も、全ての再現度に震えまくる。めちゃめちゃレベルが高い映画だ。始まった瞬間、それらが言葉ではなく心でわかるはずです。感情がいっぺんに胸になだれ込んできて、その本気度には称賛しか贈れません。
ここまでレベルの高い作品をつくれたのは、いろいろ要因があると思いますが、美術やセットやロケなどにお金を使っていることが大きいと思います。本当に漫画のひとコマをそのまま再現したようなセットや舞台が、全編に出てきてマジで驚かされるんです。「うわ、そのままだ!」って。詳しくは公開前にレビューを書こうと思いますが、再現は本当にすごい映画。漫画実写化を終わらせた、そういうことすら出来る傑作です。
・バイス(4月5日公開)
ジョージ・W・ブッシュ政権でアメリカ史上最も権力を持った副大統領と言われ、9・11後のアメリカをイラク戦争へと導いたとされるディック・チェイニーを描いた社会派エンタテインメントドラマ。見どころはなんといっても、“役づくりの鬼”こと主演クリスチャン・ベールでしょう。
ベールは「ザ・ファイター」では約13キロの減量と歯列矯正を施し、薬物依存症の天才ボクサーを演じたほか、「アメリカン・ハッスル」では激太りし肥満の詐欺師に扮するなど、壮絶な役づくりを頻繁に行うことでも知られています。今作ではチェイニー元米副大統領の20~70代を演じるため、約20キロの体重増加など過酷な肉体改造を実施。第76回ゴールデングローブ賞では、最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル)を受賞しました。
そんなベールですが、過酷な役づくりは「これで最後」とのこと。肉体への負担が極めて高く、娘さんからこれ以上は禁止されているそうです。今作でスクリーンに刻まれる“魂の役づくり”を見届け、そのぶっ飛んだ入れ込み具合に畏怖しましょう。
・麻雀放浪記2020(4月5日公開)
1969年に始まった阿佐田哲也氏の麻雀小説を新たに映画化。主人公が1945年から2020年にタイムスリップし、東京オリンピックが中止となった東京で麻雀バトルを繰り広げるという設定です。映画化決定の第一報に触れたときは、正直「何言ってるのかよくわからない」と面食らいました。
招待されたマカオ映画祭では内容が問題視され上映中止になり、国会議員から圧力をかけられたり、出演者のピエール瀧が逮捕されたりして公開中止の危機に瀕するなど、なんだか呪われていたような作品ですが、やっとこさ公開。全編iPhoneで撮影という意欲的な試みをしており、その映像がスクリーンでどのように見られるのかは興味深いところです。
出演者は斎藤工をはじめベッキー、的場浩司、岡崎体育、音尾琢真、竹中直人、ヴァニラら。監督は「凶悪」「サニー 32」「孤狼の血」などの白石和彌。キャスト・スタッフにアナーキーかつ破天荒な面々ばかりが顔をそろえているだけに、公開初日を迎えるまで油断できません。いや、むしろ公開を迎えても油断ならない、もうひと騒動起こしてくれそう感すらあります。今作のぬらぬらとした粘り気のある生命力というか、それこそがキッチュな魅力にほかならない気がしています。
・名探偵コナン 紺青の拳(4月12日公開)
もはや説明不要の国民的人気シリーズ、その劇場版第23弾。“シリーズ初”が重なる記念べき1作でもあります。初の海外舞台となるシンガポールにコナンたちが降り立ち、宿命のライバル・怪盗キッドと対峙。さらに劇場版初登場となる400戦無敗の最強空手家・京極真も乱入し、コナン、キッド、京極真による三つ巴の死闘が繰り広げられます。
注目は京極真の立ち回り。「レベルを上げて物理で殴る」を地で行くチート級の物理攻撃キャラなので、作品にどのような規格外アクションをのっけてくるのか。そして前作「名探偵コナン ゼロの執行人」は、興行収入約92億円の社会現象的ヒットを記録。今回はどんな数字をたたき出すのか、期待です。
・ハンターキラー 潜航せよ(4月12日公開)
「U・ボート」「レッド・オクトーバーを追え!」「クリムゾン・タイド」「U-571」など、名作が続出したジャンル“潜水艦モノ”の新作。映画サイトでもあまり情報が取り扱われない作品で、隠れた名作となることは間違いありません。
そもそも潜水艦モノは、テクノロジーの進化に映像技術が追いつかなくなったことで新作製作が不可能となっていました。ところが近年のCGなどの技術進歩と、米国防総省と米海軍の全面協力もあり、「ワイルド・スピード」製作陣が新たな迫力映像を創出できたんです。
見どころは、潜水艦同士による海中バトル。相手の姿は“ソナー音”でしか確認できません。そのため、バトルシーンは潜水艦内で隊員たちが指示を飛ばしあう。キャッチコピーの「音だけが“見える”戦場」のとおり、緊迫の時間が流れ続けます。ちょうど「アクアマン」に頭脳戦をプラスしたような展開です。バトルを収めた特別映像を以下に置いておきますが、ぜひ劇場で見て欲しいイチオシの作品です。
・ビューティフル・ボーイ(4月12日公開)
実際にあった出来事を映画化したノンフィクション。8年かけてドラッグ依存を克服し、現在はNetflix作品「13の理由」の脚本家として活躍する男性と、彼を支え続けた家族を描く人間ドラマです。
注目は「フォックスキャッチャー」のスティーブ・カレルと、「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが父子を演じるという点。洋画ファンなら、この字面だけでごはんが3杯食べられるほどの組み合わせです。コメディアンから怪演光る重厚な役者へと転身を遂げたカレルと、儚く美しい存在感をいかした繊細な演技を持ち味とした若手俳優シャラメ。絶妙なハーモニーと化学変化が確実に起こるはずで、2人の芝居を見るだけでもお金を払う価値があります。
製作は「ムーンライト」「それでも夜は明ける」を手がけた、ブラッド・ピット率いるプロダクションのプランBエンターテインメントという点も注目。つまり、ハリウッドでも良質で上質な人間ドラマをつくるスタジオが製作している、ということです。胸に深く染み入る感動を、ぜひ劇場で味わってほしいです。
後編は近日…
都内在住のライター・編集者・映画評論家・マーケター。新卒で入社した広告会社を2年ほどで転職、現在は大手WEBメディアで活動中。好きな映画は、ベタに「エターナル・サンシャイン」「アベンジャーズ エンドゲーム」など。
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