新感覚すぎるホラー連発! 恐怖の“〜したら死ぬ”系映画
毎年、さまざまな手法で観客を驚かせてくれるホラー映画。進化のスピードが極めて速く、次々と“革命的”な作品が現れるため、追っていて楽しいジャンルでもあります。
今回は、昨年からにわかに類似作が増えている“〜したら死ぬ”系ホラーをご紹介します。その名の通り、登場人物が特定の行動をすると死が降りかかるという内容。従来の幽霊的な恐怖とは一線を画す、新感覚すぎる体験が味わえます。
踊ったら死ぬ!「サスペリア」
現在公開中です。「君の名前で僕を呼んで」で美しい青春映画を紡いだルカ・グァダニーノ監督が、ダリオ・アルジェントの傑作ホラーをリメイク。ベルリンの世界的舞踊団「マルコス・ダンス・カンパニー」が舞台で、カリスマ振付師マダム・ブランのレッスンを受けた者が、次々と謎の失踪を遂げます。
映像は「血のりさえも美しい」と言われるほど耽美的ですが、演出や音楽は常に根源的な恐怖を与えます。ダコタ・ジョンソン、ティルダ・スウィントン、クロエ・グレース・モレッツら豪華女優の“美の競演”と、ロックバンド「レディオヘッド」のトム・ヨークが初挑戦した映画音楽も要注目です。今作公式Twitterにはプロモーション動画が掲載(https://twitter.com/i/status/1089871919657054208)されていたんですが、「決して、1人では見ないでください」というナレーションが響き、「踊ると、死ぬ」というコピーが踊る、破壊的な映像を見ることができます。
音を立てたら死ぬ!「クワイエット・プレイス」
エミリー・ブラントが主演し、全米でスマッシュヒットを記録したサスペンスホラー。日本でも旋風を巻き起こし、テレビCMも多く放送されたため、記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。音に反応して人間を襲う「何か」によって人類が滅亡の危機に瀕した世界で、「決して音を立ててはいけない」というルールを守り、生き延びている家族の姿を描きます。
特筆すべきは、ホラーなのに「叫び声をあげられない」という点。登場人物の恐怖と同化し、息をするのも忘れて画面に見入ってしまいます。ちなみに絶叫上映も催されましたが、あまりの恐怖のため観客が叫び声を一切あげられず、イベントが失敗に追い込まれたという、「そんなことある?」と言いたくなる珍事も発生しました。
目を開けたら死ぬ!「バード・ボックス」
サンドラ・ブロックが主演した、NetflixオリジナルのSFサバイバルサスペンス。劇場に行かずとも、Netflixに加入していれば自宅でご覧いただけます。突如現れた「それ」によって、未曾有の異変に襲われた世界が舞台。見てしまったら命を奪われる「それ」から逃れるため、主人公のマロリーは、子どもたちとともに“目隠し”をして逃避行に出ます。
全米では予想以上の大ヒットを記録しており、若者の間で「目隠しをしたまま行動する」というチャレンジが流行し、事故や事件につながってしまっているそうです。真似したくなる気持ちはわかるものの、現実世界で“見えなくて死ぬ”というのはシャレになりらないと思うんですが。
増築を止めたら死ぬ!「ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」
米カリフォルニア州に現存し、いまなお幽霊の目撃情報が絶えない屋敷にまつわる実話を映画化。亡霊から逃れるため、狂信的に屋敷の増改築を繰り返すサラ・ウィンチェスター夫人と、精神科医エリック(ジェイソン・クラーク)が、怪現象に対峙するさまを描いています。増築され続けた屋敷の複雑な構造は、登場人物たちの内面と恐怖を象徴します。
アカデミー賞女優のヘレン・ミレンによるさすがの熱演と、「ジグソウ ソウ・レガシー」「プリデスティネーション」のマイケル&ピーター・スピエリッグ監督による「そうきたか」という演出が、おどろおどろしい重厚なホラーへと昇華させました。
ドラマ観るなら<U-NEXT>ビデオを見たら7日後に死ぬ!「ザ・リング リバース」
ご存知、日本が生んだ傑作ホラー「リング」シリーズのハリウッド・リメイク第3弾。「見た者は必ず7日後に死ぬ」と言われる呪いのビデオを見てしまったジュリアが、呪いの連鎖を断ち切るため、恋人のホルトとともに呪いのビデオの謎を解き明かそうと行動する姿を描きます。
シリーズ誕生20年の節目というだけあって、その恐怖はパワーアップ。日本での貞子はもはや“愛されキャラ”と化してしまっていますが、今作を見ると「やっぱ貞子、やべえわ」と引いてしまうこと請け合いです。またポスターが怖すぎて、掲載された媒体に多くの苦情が寄せられたとか、寄せられていないとか。
来られたら死ぬ!「来る」
「第22回日本ホラー大賞」で大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を映画化したホラー。迫り来る謎の存在「それ」に襲われる市井の人々の恐怖を描きます。岡田准一が主演し、「告白」「渇き。」の中島哲也監督がメガホンをとった今作の魅力は、なんといっても観客の理解がおいつかない“祈祷バトル”。
来てしまった「それ」を倒すために、日本中から霊能者が集まり力の限りを尽くして戦うんですが、正直何をやっているのかわかりません。「いや、なんだよこれ」という言葉が頭を支配し、自分の脳みそが急速にとろけていくのを感じながらも、画面から目をそらすことはできない。そして鑑賞後は、「とにかくすごいものを見てしまった」という感覚から逃れられません。柴田理恵、最高だった。
何をしても結局死ぬ!「ファイナル・デスティネーション」シリーズ
2000年に第1作が世に放たれた大ヒットシリーズ。これまで5作が製作されており、「死の運命からは逃れることができない」という恐怖を描きます。シリーズ第1作では、高校生たちが飛行機事故を予知して回避しますが、「車と列車との接触事故で死ぬ」「浴室で足を滑らせて死ぬ」など、何をしても結局は死に向かってしまいます。
死のバリエーションが超豊富で、それだけを集めたダイジェスト映像でも見ていられます。またつい最近、「ソウ」シリーズを手がけた脚本家が、リブート版の製作を計画していることも明らかになりました。新作ではどんな死に様が見られるのか、楽しみです。
都内在住のライター・編集者・映画評論家・マーケター。新卒で入社した広告会社を2年ほどで転職、現在は大手WEBメディアで活動中。好きな映画は、ベタに「エターナル・サンシャイン」「アベンジャーズ エンドゲーム」など。
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