【ネタバレ】「グリーンブック」を彩る14のトリビア

2019年4月1日

 第91回アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚本賞に輝いた「グリーンブック」。3月1日に日本公開され、興行収入20億円を狙える大ヒットスタートを切りました。

製作・脚本を手がけたニック・バレロンガの父が経験した実話が基になっており、人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部が舞台。粗野で無教養な用心棒トニー・リップと、インテリな黒人天才ピアニスト、ドクター・シャーリーが、前途多難なコンサートツアーを通じ深い友情で結ばれていくさまを描く。ビゴ・モーテンセンの人間味あふれる言動はいつまでも見ていられるほど魅力たっぷりで、マハーシャラ・アリは迷路のように複雑な黒人ピアニストの内面を緩急自在に表現してみせた。



映画.comによる作品紹介 https://eiga.com/news/20190305/8/

 3月3日にはピーター・ファレリー監督が初来日を果たし、舞台挨拶や各社のインタビューに応じました。繰り返し語られたのは、本作が“希望”の物語であるということ。世界は未だ発展の途上であり、良くなっている部分、悪くなっている部分、すべてがグラデーションのように複雑な層を成しています。

 そんな世界にあって、この物語が投げかけるものは何なのでしょうか。心憎いばかりに軽快な演出のなかに、重要なメッセージを忍び込ませたファレリー監督は、きっと、人々がそのことについて“話し合う”ことを臨むでしょう。

 今回は、そんな「グリーンブック」のトリビアを紹介していきます。

1.製作・脚本を務めたニック・バレロンガはトニー・リップの実の息子

 上述の通り、ニック・バレロンガの父が経験した実話がベースになっています。劇中に登場した上のお兄ちゃんがニックです。彼は12歳だった1971年、父トニー・リップとともに映画「ゴッドファーザー」の結婚式シーンにエキストラ出演し、そのことをきっかけに映画界に入ることを目指し始めました。それから約50年。アカデミー賞を獲得するという“夢物語”を現実にしました。撮影中、ニックはしきりに涙ぐむ姿が見られたといいますから、この結果は彼が一番喜んでいるんじゃないでしょうか。

2.実際の旅は1年間に及んでいた

 劇中では2カ月の旅でしたが、実際は1年間旅をしていました。若き日のニック・バレロンガは父トニー・リップやドクター・シャーリーにインタビューを行っており、その録音テープや手紙など、膨大な資料のなかから映画化するべきエピソードを抽出していったといいます。映画では10月からクリスマスまでに凝縮しているが、入り切らなかったエピソードも多数。2人がジョン・F・ケネディ大統領の葬儀に行く模様も、泣く泣くカットしたそうです。

3.トニー・リップが食事するシーンでの、スタッフの暗黙の了解

 劇中のトニー・リップたちが食事するシーン。フライドチキンなど笑える場面が多いですが、撮影中のスタッフの多くは、笑いを堪えることができなかったようです。あまりにも笑ってしまうため、耐えきれなくなったら、落ち着くために撮影現場から立ち去ることが許可されていたとのこと。どんだけ笑うんだ。ちなみに、ビゴ・モーテンセン演じるトニーは、ピザを切らず丸めてかじりついていましたが、その食べ方は実際のトニーもやっていたそうです。

4.警察署に勾留されるシーンは…

 トニー・リップが警察官を殴り、ドクター・シャーリーとともに勾留される場面。実際の旅では、クリスマスから1年後に起きた出来事でした。実際にもドクターは、ロバート・ケネディに電話をかけ助けを求めています。それは、ジョン・F・ケネディ大統領がダラスで暗殺される数日前のことでした。

5.ピアノの演奏はマハーシャラ・アリではない

 29歳のアメリカ人ピアニスト、クリス・バワーズがピアノ演奏を担当。バワーズが演奏する映像に、マハーシャラ・アリの顔を合成しています。

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6.トニー・リップが消火栓にゴミ箱を被せた理由

 映画の前半で、トニー・リップが車を停め、消火栓にゴミ箱をかぶせる場面があります。日本人からすると「?」が浮かぶ行動ですが、アメリカ人にとってはひと目で意味がわかるシーンです。というのも、アメリカでは消火栓の近くに駐車すると、処罰の対象になります。トニーはゴミ箱をかぶせることで消火栓を隠し、処罰から免れようとしているんです。彼のずる賢さを象徴する、何気ないけど巧みなシークエンスです。

7.ホットドッグ早食い競争のシーンでは…

 トニー・リップが50ドルを賭けて早食いに臨む場面。撮影では吐き出せるようにバケツが用意されていたが、ビゴ・モーテンセンはそれを使わず、実際に15本も食べています。なので、「もっと食え!」と言われたときのあの嫌そうな顔は、演技ではなくマジです。ほかにもトリビアを調べていくと、あまりにも可愛らしすぎるビゴのエピソードが結構出てきました。

8.タイトルがオープニングで表示されない理由

 ビゴ・モーテンセンがピーター・ファレリー監督に提案し、タイトルをオープニングで表示しないようにさせました。表示されないことで、観客が「映画を見ている」ことを忘れ、物語に没入してくれると考えたからです。

9.守り石は…

 劇中に登場し、重要なモチーフとなる守り石。撮影中、たまたまビゴ・モーテンセンが石を見つけてきて、「これを撮影に使おうぜ」と提案したそうです。石は本番用と予備の2個があり、予備の1個は、ピーター・ファレリー監督が来日時に持ってきてくれていました。

10.トニー・リップが牛乳を飲むシーンでは…

 トニー・リップが家に帰ってきて、冷蔵庫から取り出した牛乳を額に当て、それから一息に飲むシーン。ビゴ・モーテンセンがボトルを持つことを嫌がり、カメラテスト含めて3回しか撮影しなかったそうです。なぜ嫌がったのか、理由は不明とのこと。

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11.雪のシーンでは…

 ルイジアナ州での雪のシーンは本物の雪が降っています。雪を予感したビゴ・モーテンセンが「待ってみよう」と提案し、数時間粘った結果、本当にチラチラと雪が舞ってきたそう。

12.ビゴ・モーテンセンは役づくりで20キロ増量している

デンマーク系アメリカ人のビゴ・モーテンセンは、イタリア系アメリカ人を演じるため、撮影前に11キロ、撮影中に9キロ体重を増やしています。主にピザとパスタを爆食いしたそうですが、ビゴいわく「この方法はオススメしない」とのこと。ちなみにイタリア語のアクセントは、イタリア系マフィアを描いた米ドラマ「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」を一気見して身につけたそうです。

13.ビゴ・モーテンセンの愚痴

 ビゴ・モーテンセンはカメラの前で食べるシーンが非常に多かったため、健康上の理由でケータリングには手を付けなかったそうです。しかし、ランチの時間に自分のトレーラーに戻り、ベルトを緩めて横たわったときに、ふと愚痴が…。「この映画のケータリング、めっちゃ良いって聞いたんだよね…」。

14. 20キロ増量にピーター・ファレリー監督は…

 ビゴ・モーテンセンの20キロ増量に対し、ピーター・ファレリー監督は「必要性は感じなかった」と暴露。というのも、実際のトニー・リップとビゴは一切似ていないため、外見のアプローチは不要だと判断していました。しかしビゴは、あえて増量を実施。その結果、非常に人間くさく、一挙手一投足が魅力的なキャラクターが出来上がったんですね。

 なお、ビゴは撮影後に体重をもとに戻していますが、「痩せることは大変だった。面白くもなんともない。太ることはめちゃ楽しかったからな」とコメントしています。

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